矢島氏の事業の画期的な点は、

・伝統産業の技術を用い現代的センスの商品を開発することで、まとまった量の“数仕事”を創出し、職人さんの技を練磨していること

・旧態依然とした作品ではなく、かつてないチャレンジングな作品づくりを通じて、個々の職人さんたちの潜在能力を引き出し、創造性を高めていること

の2点であろう。矢島氏の職人ネットワークは全国300人に及ぶが、この事業によって各地の伝統産業の魅力が見直されるとともに、売上が上がることで工房に新しい人を採用できるようになったと聞く。

「不変と革新」から見た「和える」の事業

 洋の東西を問わず、伝統を現代に活かすのは本当に難しい。下記の「不変と革新マトリクス」をご覧いただきたい。

伝統産業には4つのタイプがある(筆者作成)

 伝統には、決して変えてはいけないこと(=不変)と、環境変化に即して変えなければいけないこと(=革新)があるが、その対応の仕方によって、4つのタイプに分類される。