6月11日、18日に行われたフランスの国民議会(下院)選挙(定数577)は、エマニュエル・マクロン新大統領率いる新党「共和国前進」(REM)が約6割の議席を獲得して圧勝した。
総崩れの対抗勢力
右派政党「共和党」(LR)は113議席を獲得し、最大野党の地位を辛うじて確保した。ただし、元々は共和党議員だったエデュアール・フィリップ首相やブルノ・ルメール経済相、ジェラール・ダルマナン行動・公会計相らが、大統領選前から共和国前進に鞍替えしており、党としてはジリ貧状態だ。
大統領選の決戦投票でマクロン大統領と対決した極右政党「国民戦線」(FN)のマリーヌ・ルペン党首は大統領選の勢いを持続できなかった。国民戦線の議席数は改選前の2議席から8議席に増えたが、反対勢力としては非力な存在だ。ルペン党首の参謀役だったフロリアン・フィリッポ副党首が落選してしまったので、国民戦線は今後「脱EU」「脱ユーロ」路線を変更する可能性もある。
「社会党」は壊滅状態だ。オランド前政権で閣僚を務めた社会党議員17人が落選した。マニュエル・ヴァルス前首相は共和国前進からの出馬を試みたが断られ、社会党から出馬した結果、2位の極左候補に139人の差で辛くも当選した。マクロン大統領の“武士の情け”で、ヴァルス氏の選挙区には共和国前進の候補者がいなかったが、もしもいたらヴァルス氏は間違いなく落選していただろう。なお、議会では共産党などを含めても左派勢力は45~50人だ。
新人議員と女性議員が一気に増加
今回の共和国前進の勝利で、議会は約70%が新人議員ということになった。