韓国で文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領が就任してから2週間。韓国は本当にニュースの多い毎日だ。
首相など人事の発表、大統領と与野党代表との昼食会で出た改憲論議、北朝鮮のミサイル発射とこれに対する対応・・・そんな中で、韓国の財閥も進歩派政権の登場に超緊張状態だ。
「やはりあの人だったか・・・」
2017年5月17日、新任の公正取引委員会の委員長に金尚祖(キム・サンジョ=1962年生)漢城(ハンソン)大学教授が任命されると、ある大企業幹部は、あきらめたような笑いを浮かべた。
公取委委員長にあの人が就任
「財閥改革」を主張してきた金尚祖教授の名前は早くから「公取委委員長候補」として上がっていた。
「来るものが来たか」
韓国の財閥幹部は「政権交代」を実感したはずだ。
ところが、衝撃はこれだけではなかった。
その2日後、文在寅大統領が直接会見して経済副首相兼企画財政部長、外相など主要人事を発表した。メディアの関心は、まったく事前予想になかった女性外交官の外相起用に集まったが、財閥は、青瓦台(大統領府)の要職である「政策室長」の人事を見て、さらに目をむいたことだろう。
張夏成(チャン・ハソン=1953年生)高麗(コリョ)大学教授の名前があったのだ。
サムスン電子の株主総会でプラカード
1998年2月、サムスン電子の株主総会は大荒れに荒れた。市民団体の「参与連帯」に所属する少数株主が、「グループ内不当取り引き」を批判して経営陣を執拗に追及したのだ。
総会でプラカードを掲げて経営陣攻撃の先頭に立っていたのが、「参与連帯経済民主化委員長」だった張夏成教授だった。
この年、サムスン電子の株主総会は13時間30分続いた。