十勝ブルーの空を舞う白鳥の隊列

 十勝ブルーと呼ばれる澄み渡った青空にハクチョウたちの鳴き声が響き渡る。北海道の十勝地方東部に位置する本別町にて、3月24日から3日間、とあるキックオフイベントが行われた。

 その前に、2025年問題をご存知だろうか。

 団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になる2025年以降、諸外国に類を見ないスピードで高齢化が進み、人口の3人に1人以上が高齢者となっていく。当然、これまでの医療・社会保障の仕組みでは支えきれず、根本的見直しが必要というものである。

 医療と介護の連携だけではなく、生活支援・予防・まちづくりなど包括的なシステム(地域包括ケアシステム)の整備が、各自治体で急がれている。

 本別町と地域包括ケア研究所(所長:鎌田實)は、住民も一緒になり「自分ごと」として住みやすい町をつくっていくことを目指し「地域包括ケア・キックオフイベント」を協働で企画した。

 私自身も研究所メンバーとして「医療おける組織づくり・人材育成」の立場から、イベントをサポートした。

 年度末の忙しい時期にもかかわらず、事前申し込みよりも多くの方々が集まり、住民や医療・福祉関係者、行政関係者などと共創的な場ができ、本格的活動前にキックオフイベントしてよいスタートを切ることができたと感じている。

 数ある企画の中でも、次の若い世代に繋げていく企画が個人的に強く印象に残っており、いくつかご紹介したいと思う。

親子イベントで予防・健康リテラシーを高める

 NHKの人気番組「ドクターG」をご存知の方も多いだろう。総合診療医(ドクターG)が経験した症例に、全国から集まった優秀な研修医たちが病名推理に挑む番組である。

 今回、その番組にも出演され、総合診療科領域の第一人者でもある医師を講師として町外より招へいし、親子や学生たちに様々な謎解き体験などをしてもらった。

 まず、親子イベント。子供たちは小学生で、親と一緒に参加してもらい、対抗で医療クイズに挑んでいく。

スーパー総合医による親子イベント

 イベントの詳細は割愛するが、笑いと真剣さが混じり合う雰囲気の中で終了した。

 どんなことをやるか分からず不安いっぱいで来たはずの子供たちも、その雰囲気の中でやる気スイッチが入り、医療や健康について考えることを「楽しい経験」としてポジティブにとらえてくれたように思う。

 将来、医師や看護師など医療職に就いてみたいと話す子供たちもたくさんいた。そんな子供たちの中から、いつの日か町に戻ってきて活躍する人が出てくるかもしれない。