アバーディー首相による対イスラム国勝利宣言もほどなくして、イラクにおける新しい脅威の出現が囁かれ始めている。
イスラム国は黒旗を彼らの象徴としていたが、今度のものは白旗である。
この白旗は何も降伏を意味しているわけではなく、武装闘争を繰り広げている。白地に獅子の文様をあしらった旗を掲げるこの武装勢力の正体はまだはっきりしておらず、様々な憶測を呼んでいる。
この白旗軍は「白旗の同士」と称し、イラク中央政府とクルド自治政府が競合してきた係争地キルクークやトゥーズフルマートおよびハムリーン山地を拠点とし、イラク軍や、またイラク軍と共に同地で治安維持にあたるシーア派民兵組織「人民動員機構」を攻撃対象とし、四輪駆動車やバイク、果ては馬をも駆り、武装闘争を展開しているのだ。
この白旗軍の正体については、見解を述べる者によって様々であり、またこの白旗軍に交じって様々な武装勢力が存在しているともされる。
まず、イスラム国の残党ではないかとの見解がある。
特にハウィージャやシャルカートで戦っていたイスラム国の残党が、同地域がイラク軍に奪還された後、トーズフルマートゥに拠点を移し、組織の立て直しを図っているではないか、とする見方である。
次にクルド系の勢力ではないかという見方が存在する。
白旗軍の一味かどうかは定かではないが、「ギャオバフシャ(クルド語で義勇兵)」と呼ばれる武装組織の存在が確認されている。