また、労働時間の長い会社がブラック企業として非難されたり、新卒学生の会社選びの主要ポイントの1つが残業時間になっているなど、企業の採用力にも直接影響し始めている。そのような状況において、総労働時間の削減や、様々な立場の従業員にとって働きやすい環境を整備していくことは、企業にとって喫緊の課題である。

効率的に仕事をする環境は整ってきたが・・・

 メールシステムや基幹システム、電子ワークフローなど、ITの導入・活用が当たり前になり、以前よりは効率的な仕事の仕方になっているはずなのに、なぜ、職場の状況はあまり変わっていないのだろうか。

 いわゆるホワイトカラーと言われるオフィスワーカーの仕事は、デスクワークが中心である。そうした仕事はパソコンに向かっている時間が長く、マネジャーにとってはメンバーが何をしているのか見えにくいという状況がある。それにもかかわらず、上司は担当者に仕事を割り振ると、後は任せっきりになってしまい、職場としての管理ができていない会社がまだまだ多い。

 その結果、仕事のやり方やペースが個人任せになっていたり、残業前提の仕事の進め方が常態化している会社がなくならない。

 このような状況はどうすれば打破できるのか。

 本シリーズでは、労働人口の減少というそう遠くない将来を見据えて、シニアや女性、様々な職種の人など多様な従業員が伸び伸びと、そして効率よく働ける会社・職場作りを実現し、「企業の成長」と「生産性の向上」を両立させるための働き方改革のポイントを解説していきたい。