自動運転車の開発が活況を帯びている。トヨタや日産などのクルマメーカー、ルネサスなどの車載半導体メーカー、さらにグーグルやアップルなど異業種からも多くの企業がこの分野へ参入しようとしている。
自動運転車用半導体は、ディープラーニング機能を備えた人工知能(AI)が搭載されていることが必須である。そのような中で、私の関心事は、「自動運転車用AI半導体を制するのはどこか」ということである。
自動運転車用AI半導体のカギは画像処理能力
米Tractica社の予測によれば、今から10年後の2025年には、AI用CPUおよびGPU(Graphics Processing Unit:画像処理プロセッサ)の売上高は、それぞれ、574億ドル超および140億ドル超になるという(「日経エレクトロニクス」2017年1月号)。
2016年の半導体売上高で、世界1位の座を占めているインテルの売上高が563億ドルであった。2025年のAI用半導体の市場規模はCPUとGPU合計で714億ドル超になる。つまり、10年後には、インテルの売上高をはるかに(?)超えるAI半導体の巨大市場が出現するわけである。
もちろん、714億ドル超のすべてが自動運転車用というわけではない。しかし、クルマ用AI半導体がもっとも市場規模が大きいことは間違いない。それゆえ、そのAI半導体を制するのはどこになるかに注目している。
自動運転車用AI半導体では、高速な画像処理能力を持つことが大きな課題である。ここで、ファブレス(工場を持たずに設計やマーケティングを行う製造業会社)の米NVIDIA(エヌビディア)が頭ひとつリードしていることを説明する。次に、そのNVIDIAを、画像処理技術を持つベンチャーを買収した米インテルが追撃しようとしていることを述べる。