これらの高い目標を達成にするには、相当規模のリニューアブル発電の新設が必要であり、その旺盛な資金需要がニューイングランド地方の大手電力会社2社、ノースイースト・ユーティリティーズ(Northeast Utilities)とエヌスター(NStar)の合併を促しました。
2010年10月に発表された両社の合併規模は43億ドル(3870億円)に上ります。
このニューイングランド地方の大手電力会社の大型合併は、動きの鈍い国の政策を横目に、地方政府レベルのグリーン政策が、実際に企業を動かし、グリーン化を着実に進行させている一例です。
COPで国際的な枠組みが合意できなくとも、地方政府を含めた各国の政府は、独自の政策によって、世界のグリーン化に寄与しているのです。
新興国が推し進めるグリーン化
2つ目の世界のグリーン化の推進力は、新興国です。第2回連載「100年に1度のエネルギー産業大転換」の中で述べましたが、世界の人口は2000年の61億人から、2050年までには91億人に増加すると予測されています(図9:世界の人口推移)。
そして、現在の世界人口の約半分に当たる30億人の増加分の何と90%はアジア・アフリカ諸国の人口増によると考えられています。
これら新興国にとっては、この人口増加と経済発展を支えるエネルギー設備をはじめとする社会インフラの構築・整備が国家の最重要課題となるのです。
電力を例に挙げると、これから新たな電力供給システムを構築する新興国は、大規模の石炭火力発電所や天然ガス発電所を建設して、何千キロに及ぶ送電線網を国中に張り巡らせる、いわば先進国が過去何十年という歳月をかけて構築した電力供給モデルを踏襲しようとするでしょうか?