COP15でポスト京都議定書の新たな枠組みを採択できなかったことは、2013年以降のグローバル規模のCO2削減施策に不透明感を残した結果となり、クリーンエネルギー産業にとって大きな痛手であることは間違いありません。
しかし、これで世界のグリーン化の流れがストップすることにはなりません。それは、COP以外にもグリーン化を推し進めているいくつかのフォースがあるからです。
国・地方政府が推し進めるグリーン化
1つ目の世界のグリーン化の推進力は、各国政府や地方政府の独自のグリーン化政策です。ドイツ銀行(Deutsche Bank)の調査によりますと、世界には約270に及ぶ、主要なクリーンエネルギー関連制度・政策が存在するそうです*42。
例えば、欧州連合は、2009年に「20-20-20」と呼ばれる、包括的な温暖化エネルギー法案を成立させています。当法案の主な骨子は、2020年までに次の3つを実現するとしています。
●1990年比で温室効果ガスを20%削減
●20%のエネルギー消費をリニューアブルから補う
●エネルギー効率の改善によって、1次エネルギー消費を20%削減
COP15で、温室効果ガス削減数値目標へのコミットに反対の立場を取った中国でさえも、第8回連載「次世代の覇権を目指し、手を握る米国と中国」の中で紹介しました通り、第11次5カ年計画の一環として、2020年までに1次エネルギー消費の15%をクリーンエネルギーで賄う政策を自国ではしっかり導入しています。
一方、連邦政府レベルでは停滞しているものの、地方政府レベルでは積極的にグリーン政策を打ち出しているのが米国です。
連邦政府が、キャップ・アンド・トレードや太陽光・風力発電などのリニューアブル発電からの一定量の電力供給を義務づける Renewable Portfolio Standard(RPS)制度を盛り込んだ地球温暖化法案を成立させる可能性がぼぼなくなったことは既に述べました。
しかし、州レベルでは、2009年時点で、32州および1地域(District of Colombia)がRPS制度を既に採用しています。
地方政策が大手電力会社の合併を促す
例えば、カリフォルニア州は2020年までに電力需要の3分の1をリニューアブル発電から供給するという非常に積極的なRPS制度を導入しています。
また、ニューイングランド地方と呼ばれるマサチューセッツ州、コネチカット州、ニューハンプシャー州もそれぞれ2020年までに22%、2020年までに27%、2025年までに25%のリニューアブル電力を導入するRPS制度を採用しています。