第4部 クリーンエネルギーと日本

COP15首脳級会合の草案、具体目標なく合意に暗雲

COP15で講演する米国のバラク・オバマ大統領〔AFPBB News

 2009年12月に世界が注目する会議が開催されました。コペンハーゲンで開催された第15回気候変動枠組み条約締約国会議、通称COP15です。

 第3回気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)によって合意された京都議定書によって、2008年から2012年の期間中に、先進国のCO2を中心とした温室効果ガスを1990年比で5%削減することを目標に、参加各国に具体的な削減量が割り当てられました。

 COP15の最大の目的は、京都議定書の遵守期間が終了する2013年以降、つまり、ポスト京都議定書をにらんで、どの様な新しい国際的な枠組みで温室効果ガスの削減に取り組んでいくかを採り決めることでした。

米国と中国を引きずり込め

 京都議定書では、日本は6%、欧州連合は8%、米国は7%のそれぞれの温室効果ガス削減目標でいったん合意したのですが、その後、米国は産業界からの大きな反発に屈する形で2001年にブッシュ大統領が米国の京都議定書からの離脱を表明しました。

 議定書発効の条件の1つであった、参加国の温室効果ガス排出量の合計が全体の55%以上を占めるという条件はかろうじてクリアしたものの、世界のCO2排出量の40%以上を占めるワースト1位・2位の中国と米国が参加しませんでした(図41)。

図41: CO2排出国ワースト10  2008年
順位 国名 CO2排出量 シェア(%)
  世界合計 315億5160万トン 100
1 中国 69億790万トン 24
2 アメリカ 63億6910万トン 19
3 ロシア 16億8080万トン 5
4 インド 14億4250万トン 5
5 日本 13億8860万トン 4
6 ドイツ 8億5390万トン 3
7 韓国 6億5350万トン 2
8 カナダ 6億4170万トン 2
9 イギリス 5億7790万トン 2
10 イラン 5億1810万トン 2

出所: BP Statistical Review of World Energy 2010

 この世界2大CO2排出国の不参加によって、京都議定書は、拘束力を持つ具体的な温室効果ガス削減数値目標合意の下、国際社会が共同で取り組んだという意味ではマイルストーン的な出来事でしたが、実効性のある国際制度としては不完全なものであったと言わざるを得ません。

 そこで、京都議定書の教訓を踏まえて、今回のCOP15の焦点は、中国と米国を組み込んだポスト京都議定書の新たな枠組みに合意することができるかどうかでした。

 米国の自国主義が許されないことは言わずもがな、中国の国際社会における立ち位置も大きく変化しました。