先日、久しぶりの出張へ。盛岡から仙台、金沢、長野を周り、最後に東京から帰って来ました。
今回の目的は、現在、関わっている観光関係の仕事の参考にするため、それぞれの駅構内および周辺の視察。駅構内の大改装に合わせ、新たな情報発信を始めた仙台駅、木製の巨大な「鼓門」が出迎えてくれる金沢駅、駅エリアで独自の観光発信「信州100ストーリー」を展開している長野駅・・・。
秋の行楽シーズンに重なったこともあり、個性的なそれぞれの駅は予想以上に賑やかで、活気に満ち溢れていました。改めて地方都市の持つ可能性を感じてきました。それに比べ、東京だけは、いつ行ってもどこまでも東京のままでしたが・・・。
地方が稼ぐチャンス到来
そんな東京が大きく揺れています。2020年東京オリンピックの3競技(水泳/バレーボール/ボート、カヌー・スプリント)の開催予定地の見直しや、豊洲市場の盛り土問題など、さまざまな課題が次々と明るみになってきました。
このまま無事にオリンピックは開催できるのか、築地市場は豊洲に移転できるのか、連日連夜マスコミも大きく取り扱っています。そして大きな問題がもう1つ。そのオリンピック開催を境に東京が未曾有の高齢化社会に突入する、という不安材料が残っているのです・・・。
『お金と人の流れが変わる!老いる東京、甦る地方』(牧野知弘著・PHP研究所)。
本書は、鉄道を例えに、高齢化社会が落ち着きを見せ始めた地方こそ、東京を目指す「上り」の発想から、自分たちの地域に人を呼び込む「下り」の発想への転換を投げかけています。
・・・と、言いつつ、この話自体は以前から言われていることで、新鮮味はないのでは、と思う方も多いかもしれません。そこは、ホテルや不動産のアドバイザリーを本業にしている著者。専門とする「観光」に切り口を求めながらも、それだけに頼らないまちの活性化の手法を具体的に提示していきます。
中でも思わず頷いてしまうのが、地域の玄関口である「駅」ならびにその周辺の整備を重点的課題に挙げている点。今までは、東京に向かう人を送り出していた場所を、これからは観光客をはじめ、より多くの人々を迎えいれる拠点にしなければいけない、と著者は強く主張します。