10月初旬、米ネバダ州にあるネバダ国家安全保障施設に2つの爆弾が投下された。日本のメディアではほとんど報道されていない。
爆弾は「本来」、核爆弾であるはずだった。だが1993年以降、米国は爆発を伴った核実験を行っていないので、今回は仮の核爆弾ということになっている。
それでも、「核なき世界」を目指しているはずのバラク・オバマ大統領が、なぜ核兵器へのこだわりを捨てていないのだろうか。
米軍事専門メディアは「米軍がネバダ砂漠に仮の核爆弾を2発投下」と報じ、今回の爆弾投下の真意を探っている。
新型爆撃機B-2Aが爆弾投下
実験に使われたネバダ国家安全保障施設というのは、2010年までネバダ核実験場と呼ばれた場所である。ラスベガスから北西に約100キロ行った砂漠地帯で、鳥取県とほぼ同じ面積がある。
1992年に包括的核実験禁止条約が締結されたことで、同地での核実験は行われなくなったが、51年から92年までに900回以上(約9割が地下核実験)の実験が行われている。
その地の上空に姿を見せたのは、米空軍に所属する戦略爆撃機「B-2A」。垂直尾翼と水平尾翼がない、水中を泳ぐエイのような形状の機体で「スピリット」という愛称がある。
2機のスピリットは700ポンド(約317キロ)の爆弾を1個ずつ投下した。1つは「B61-7」、別の1個は「B61-11」と呼ばれており両爆弾とも戦術核兵器として使用される。
爆弾の開発はエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が担当しており、爆弾投下後にプレスリリースを発表している。
「両爆弾は仮の爆弾であり、核物質は含まれていません。実験は見事に成功を収め、性能を計測するためのセンサーと計測器は確かな数値を示しています。今回の実験目的は核兵器の保証期間を確かめることと、現在開発中の爆弾の耐久性、正確性、性能を検証することでした」