東芝のメモリはどうすれば生き残っていけるのか?

 東芝が、サンデイスクを買収したWestern Digital(WD)と合計でNANDフラッシュメモリに約1.5兆円の設備投資を行うと発表した。

 1.5兆円という数字は凄そうに見えるが、東芝が投資するのは8600億円で、しかも2016~2018年の3年間の合計だから、1年平均では2867億円である。この投資額は、メモリメーカーとしては、何ら驚くことはないように感じられる。

 これは、東芝のライバルであるサムスン電子の投資額と比較してみることにより、一目瞭然となる。サムスン電子は、NANDだけでなくDRAMもロジックも製造しているが、NANDだけで2.25兆円の投資をすると発表した。しかもこの投資は2年間で行われるため、1年平均では1.125兆円になる。この投資額は東芝の約4倍、東芝とWDの合計額の2.25倍になる。

 このような比較をすると、今後、東芝のメモリが生き残っていけるか、不安になる。しかもこの8600億円にしても、東芝メディカルを売却してやっとの思いで確保した虎の子のキャッシュなのだ。

 そもそも、なぜ、これほどの差がついてしまったのか? そして本当に東芝のメモリは生き残っていけるのだろうか?

 本稿ではまず、東芝、サムスン電子、マイクロンテクノロジー、SK Hynix、以上の大手メモリメーカー4社について、1990年から現在までの売上高および設備投資額の推移を示す。次に、売上高と設備投資額には直線関係があることを検証する。この結果から、1億ドルを設備投資した場合の売上高を算出したところ、東芝が最も投資効率が高いことを発見した。この発見を基に、どうしたら東芝のメモリが生き残ることができるかを考えてみたい。

メモリメーカー4社の売上高ランキングの推移

 まず、メモリメーカー4社の半導体売上高世界ランキングの推移をみてみよう(図1)。

図1 メモリメーカー4社の半導体売上高の世界ランキング の推移
Electric Journal 『半導体データブック』を基に筆者作成

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47766)