ボルトが短距離3種目3連覇、ジャマイカが400mリレー金

リオデジャネイロ五輪、陸上男子4×100メートルリレー決勝に臨む、ケンブリッジ飛鳥(左)とジャマイカのジャマイカのウサイン・ボルト(中央、2016年8月19日撮影)〔AFPBB News

 南米初開催となったリオ五輪。205の国と地域から約1万人の選手が参加した17日間のスポーツの祭典で日本は41個のメダルを獲得、メダルラッシュに沸いた。

 金メダルも12個。しかし、ファイナリストが1人もいないなか獲得した男子400メートルリレーの銀メダルが一番の快挙ではないだろうか。100メートルで10秒を切るアスリートのほとんどが黒人という現実があるからだ。

 今回も強さを見せつけたジャマイカが金。ウサイン・ボルトは100メートル、200メートルと併せ、北京、ロンドンに続く3冠を達成。その獲得金メダル数は9個となり、カール・ルイスに並んだ。

 走幅跳を4大会連続制覇しているルイスは、1984年のロサンゼルス大会では、100メートル、200メートル、400メートルリレーを加え、4冠。1936年ベルリン大会のジェシー・オーエンス以来の偉業を成し遂げている。

オーエンス4冠の苦難のドラマ

 現在劇場公開中の『栄光のランナー 1936ベルリン』(2016)は、そのオーエンスが4冠を達成するまでの苦難のドラマ。

 開巻間もなく、人種差別の厳しいアラバマ州の貧しい家に生まれたオーエンスは、家族の期待を担い、新たに進むオハイオ州立大学へとバスに乗り込む。

 黒人は後方座席に「分離」されている。そして始まった大学生活でもあからさまな差別を受ける。映画の原題は「Race」。それは競争であり、人種でもある。

 そんな立場にあっても、その才能に惚れ込んだラリー・スナイダーという(白人の)名コーチを得、続けざまに世界記録を打ち立てる。

 スナイダーは、1924年のパリ大会に出場を決めていたが、直前に飛行機事故で負傷、出場を断念した過去を持つ。

 『炎のランナー』(1981)の主人公たち、アングロサクソン、キリスト教社会でのユダヤ人差別をバネに勝ちにこだわるハロルド・エイブラハムズ、安息日に走ることを拒否した信心深いエリック・リデルなどの英国代表と激闘を繰り広げた可能性もあった人物である。

 オーエンスはベルリン五輪出場を目指しトレーニングを続けた。しかし、米国はヒトラー政権下でのドイツの人種政策への抗議のボイコットをするか否かの選択を迫られる。