英ドーバーにある白い壁

 ロンドン・ウェストミンスター宮殿前の議会広場に集まった離脱賛成派の人々。カウントダウンが始まる。

 3・2・1・・・。1月31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)、ついにブレグジットが現実となる時がきた。

 ただし今年いっぱいは「移行期間」。詰めるべき問題は山積である。

 そんな歴史の大きな節目にいるいま、EUの、欧州の歩んできた道を、映画でたどりながら、地域を、世界を、考え直してみたいと思う。

 1回目となる今回は、「島国」英国と「大陸ヨーロッパ」の境界、英仏海峡(イギリス海峡)。

 関税問題や北アイルランド紛争への懸念からアイルランド共和国との陸の国境が議論の的となったが、島国である英国には、ほかにも海上に多くの国境がある。

 フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェー(海外領土は除く)・・・。

 ノルウェー以外はどこもEU加盟国である。

 もともと、グレートブリテン島は大陸とつながっており、最終氷期が終わり徐々に海面が上昇したことから、8000年ほど前、現在の北海で分断された過去があり、そこに国境の多くの部分がある。

 そして、南方の「大陸ヨーロッパ」との間には、いま、全長560キロほどの英仏海峡がある。

 その幅は西端で最も広く180キロほど、最狭のドーバー・カレー間では34キロしかない。