ミレニアル世代の若者たち自身も、新たな事業の担い手になっている。首都ワシントンで2007年に創業したオーガニックサラダの「スイートグリーン」は、同年にジョージタウン大学を卒業した3人の若者によって始められた。彼らが創業以来注力してきたのは、地産地消の推進だ。全米に展開する48店舗では、それぞれの地域の農家から野菜を仕入れている。地産地消で農家と消費者を結びつけることがサステイナブルな地域経済の基盤になるという信念によるものだ。

 筆者もこの店に入ったことがあるが、ボウル1杯のサラダで十分満腹するとはいえ、大半のメニューが税込みで10ドルから15ドル近くするのはけっこうな値段だと思った。だが若者が中心の客たちはカウンターに列をなしてこのサラダを求めている。高価なハンバーガーを買い求め、淡泊な味わいに舌鼓をうつ大学生のことを思い出しながら、ミレニアル世代の気持ちに触れた気がした。

自分と社会にとって「いいもの」を

 自身の健康だけでなく、社会によい影響をあたえる企業活動を高く評価し、変革を強くのぞむ若者が増えている。

 筆者の周辺には、経済的にぎりぎりの暮らしをしながらも、「変なもの」を食べるくらいなら一食抜いてでも高くて「いいもの」を食べると真顔で言う若者が少なくない。いいもの、とは自分と社会の両方にとってである。生真面目なその姿勢に、頭が下がることもある。

 ミレニアム世代が成熟に向かう今後10年、20年でアメリカはどう変化していくのか。ぜひ見届けたいものだ。