ミレニアル世代の要求に応える安全・健康なハンバーガーの市場は、急速に拡大している。エレベーション・バーガーの1年前には、「シェイク・シャック」がニューヨークで設立され、去年は日本にも進出した。そうした新興勢力のほか、「カールス・ジュニア」などのような老舗企業も積極的に参入してくるようになった。

企業の社会責任にうるさいミレニアル世代

 ミレニアル世代は、自分さえ安全な食品にありつけば満足するわけではなく、自分たちの食が社会に与える影響を意識する傾向が強い。

 そのため彼らはファーストフードの売り手、つまり企業が人と動物と環境に優しいかどうかに強い関心をもっているようだ。そして、実際に人や動物、環境に優しい企業が支持されている。例を挙げてみよう。

・人に優しい

「シェイク・シャック」がアメリカで大当たりした理由の1つに、同社が業界では高水準の給与や福利厚生の充実に努力していることがあると言われている。ファーストフード業界は、渡米まもない移民など低熟練労働者を大企業が安く使う最底辺の労働市場のように言われることが多い。ミレニアル世代は、労働者を「むさぼらない」経営姿勢にも強く共感するようだ。

・動物に優しい

 ミレニアル世代に人気のあるメキシコ料理のファーストフード「チポトレ」は、人道的な育て方をした豚肉の使用を標榜している。その品質管理は難しい。2015年、ある契約農場でのルール違反が判明すると、チポトレはその事実を公表し、当該農場からの豚肉の納入を停止した。チポトレの一部の店舗から豚肉のメニューが半年以上にわたって消えたが、顧客の間には不満よりもむしろチポトレの対応を支持する声が多かったという。

・環境に優しい

 シェイク・シャックの店舗は、ボウリング場のレーンの廃材で作ったテーブルをはじめ、椅子や壁材もリサイクル木材の利用を進めている。ペットボトルやプラスチック製品のリサイクル率を100%にするほか、独自ブランドのミネラルウォーターの売り上げの一部を世界の水資源保護のために寄付しているという。