こうした人と動物と環境に優しい経営は、経済と自然と資源の持続性(サステイナビリティ)につながる。このことへのミレニアル世代の共感は、世界共通のようだ。市場調査会社のニールセンが2014年から2015年にかけて行った国際的な調査では、「よりサステイナブルな商品・サービスであれば割高でも買う」と答えたミレニアル世代は50%から73%へと大きく増加した(35歳以上の人は55%から66%への増加)。ミレニアル世代は、サステイナビリティに特に関心が高いことをうかがわせる。
社会変革に直接タッチしたいミレニアル世代
アメリカのミレニアル世代は、バーニー・サンダース上院議員が掲げる「過激な社会変革」の支持者として脚光を浴びるようになった。
長引く就職難に加え、高騰する学生ローンの返済に追われて破産同然になる者が続出するなど、明るい材料が乏しいミレニアル世代が大きな変革を求める気持ちは当然である。
だが彼らは、政治家をかついで中央の政治を変えようとするだけにとどまらない。身のまわりの社会も自分たちでこつこつ変えていこうとする。そこがミレニアル世代の大きな特徴と言えるだろう。
全米に700店舗以上を展開するサンドイッチ・チェーンの「ファイアーハウス・サブ」は、その名が示すように創業者が元消防士だ。同社は2005年、ハリケーン「カトリーナ」がもたらした甚大な被害をきっかけに、公衆の安全に貢献する事業を開始した。売り上げの一部を割き、洪水などの災害に役立つ救助ボート、消防士が交通事故現場で使う救命用具、山火事の消火活動に必要な高性能の防火服などを購入し、地域の消防署に寄付している。
同時に顧客も、お釣りの寄付や、各店舗で使用済みとなるピクルスの容器(19リットルの頑丈なプラスチック製で、再利用しやすい)を2ドルで購入することで、消防署の援助に参加できる。こうした「小さな世直し」に直接タッチできることが、ミレニアム世代をファイアーハウス・サブにひきつける要因と言われている。