正しい情報に基づいた客観的な憲法論議が待たれる(写真はイメージ)

 改憲派が衆参で3分の2以上を確保したことに対して、中国や韓国が投票日翌日の11日、一斉に懸念を表明するという予想通りの反応を見せている。

 中国外務省の報道官は、「日本が歴史の教訓を汲み取り、アジアと国際社会の安全への懸念を重視することを希望する」と語り、中国国営新華社通信は「平和憲法を初めて改訂するための障害を一掃した。戦後70年守られてきた平和憲法がたちまちのうちに無になる可能性がある」という論評を行っている。

 韓国でも朝鮮日報が「戦争できる日本、改憲ライン確保」と報じ、東亜日報は社説で、「改憲は国内問題だとはいえ、帝国主義日本のアジア侵略の歴史と絡み、韓国と中国から警戒を呼ぶ素地がある。無理に改憲をすれば、北東アジアに深刻な葛藤を招くということを、安倍政権は胆に銘じるべきだ」としている。

 中国外務省は、「アジアと国際社会の安全への懸念」と言うのだが、中国と韓国以外にアジアのどの国が「安全への懸念」を表明しているのだろうか。それどころか安全保障法制が成立した際には、中国と韓国を除くアジアのすべての国々が歓迎を表明していたものである。

 ましてや新華社通信の論評などは、“語るに落ちる”の典型である。中国はこれまでさんざん日本軍国主義などと非難してきた。ところが、日本は平和憲法を持っていると言うのである。だとすれば、これまでの一方的な非難はなんだったのか。