悲嘆に暮れるロンドンっ子、EU離脱に抗議のデモ

英ロンドンにある国会議事堂の外で、英国のEU離脱に反対する抗議行動に参加した人々(資料写真、2016年6月28日撮影)。(c)AFP/JUSTIN TALLIS〔AFPBB News

 EU(欧州連合)からの離脱を決定した英国の国民投票から1カ月が経とうとしている。市場は落ち着きを取り戻しているが、経済的な影響がどの程度になるのかは未知数という状況が続く。

 英国のEU離脱の背景には格差問題が存在しているとの指摘があり、こうした問題を解決しない限り、似たような事態が再び発生するとの見方も根強い。確かにグローバル化の進展は格差を拡大してきた面があるが、格差に対する認識は人それぞれであり対処が難しい。

米英で格差が拡大したのは好景気のせい

 格差問題がやっかいなのは、景気拡大が続くと、それに伴って格差が拡大する傾向が強く、政策的に大きな矛盾が生じてしまうことである。多くの人は格差拡大を望まないが、一方では景気の拡大を政府に強く求めるからである。

 先進各国の格差はここ20年でかなり拡大してきた。上位1%の所得が全体の所得の何%になっているのかという数字を見ると、1980年には米国が8.2%、英国が6.7%(1981年)、ドイツが10.4%、日本が7.2%であった。各国にそれほど大きな差はなかったといってよいだろう。