衝撃的な結果となった英国のEU離脱(ブレグジット=Brexit)を問う国民投票から数週間が経過しました。辞任を表明したキャメロン首相の後継者はいまだ決まっていませんが、私が住むロンドンの雰囲気、そして報道から感じられる国内の様子は、大分落ち着いてきたように感じます。
(注:本稿の執筆後、メイ内相の首相就任が決定しました。本稿末尾の「追記」をご覧ください)。
結果を覆そうというロンドンの動き
ブレグジットを巡る景観は、ロンドンとその他では全く異なります。投票の結果からも明らかなように、ロンドン周辺、一部の大都市そして元々は別の国であったスコットランドや北アイルランドを除けば、英国の広い範囲で離脱派が多数を占める結果となりました。残留派の勝利という事前予想を覆したこと、そして高い投票率に照らすと、この結果は、僅差での勝利などではなく、離脱派の大勝利と見ることも十分可能ではないでしょうか。
結果を受けて、キャメロン首相は、繰り返し、国民投票の判断を尊重しなければならないという趣旨の発言を行いました。現在の保守党党首の候補者らも同様です。しかし、このような発言が重ねられることは、なんとかして結果を覆そうという動きがあることの裏返しでもあります。
ロンドンには多数の一流大学が所在しています。これらの大学で多数を占めるのは、英国の学生ではなく、EU圏内をはじめとする世界各国からの留学生。英国の主要産業である金融業界や、それらと二人三脚で歩む法律・会計といった専門職も、EU全域から才能と野心を兼ね備えた人材を引き寄せています。