タイ国防大臣(副首相を兼任)であるプラウィット陸軍大将(退役)は、タイ海軍が中国から潜水艦を3隻購入するための予算案の認可を閣議に提出した。
タイ海軍は過去数年間にわたって潜水艦を購入する試みを続けており、2015年夏にも、プラウィット国防大臣が中国から潜水艦を購入する計画を決定している(本コラム2015年7月2日)。しかし、タイ軍事政権による最終認可を得ることができず、潜水艦購入計画は最終段階で“逆転撤回”という結果になったという経緯がある。
10年ローンで購入可能に
昨年の潜水艦購入決定をタイ政府が白紙にした最大の理由は、タイの国家予算にとって潜水艦はあまりに高額すぎるということであった。今回再びタイ海軍が購入する方針を打ちした中国の「元型S26T」潜水艦の価格は1隻120億バーツ(およそ342億円)とされており、高い買い物であることに変わりはない。
しかしプラウィット国防大臣は、中国が提案しているS26T潜水艦の性能や耐用年数(もちろん“カタログデータ”ではあるが)から判断すると、1隻あたり120億バーツのパッケージ「360億バーツ」は決して高額すぎるわけではない、と主張している。
加えて、今回の中国側との取引は、11年間に分割して支払う方式になるという。そのためタイ財政を決定的に圧迫するほど高額な予算というわけではない。したがって、プラウィット国防大臣ならびに海軍側は、今回の潜水艦調達計画は、予算的には閣議の承認を得られるものと考えているようである。