リーダーの頭脳と集団の腕力、アリの協調行動解明 研究

アリもスウォ―ム・テクノロジーの原点の1つ〔AFPBB News

 今回は冒頭に行事の告知をさせてください。長崎原爆忌にあたる8月9日、東京大学安田講堂でアニメ―ション「火垂るの墓」全編を上映、監督の高畑勲さん、俳人の金子兜太さん、黒田杏子さん、哲学者の一ノ瀨正樹さんのパネルトークと、追悼/平和祈念の音楽演奏の「哲学熟議/哲楽遊戯」を行います。

 入場無料、親子、ご家族でのご参加を広くお呼びかけしており、お申込みは電子メールでgakugeifu@yahoo.co.jpまで。一通で4人まで受けつけます。

 別途、関連稿を準備の予定です。関東近在の皆さんには、安田講堂でお目にかかれれば幸いです。実は以下の話題にも深く関わる問題を取り上げる心づもりです。

 大学に呼ばれて音楽教授するようになって18年目に入りました。この間必修の「コンピュータリテラシー」の授業などを受け持っていた時期もありましたので、数字だけで言えば万という数に近い人と教室でご縁があったことになります。

 そうした履修者が私から一度は聞いた可能性がある話題に「魚群」の遊泳があります。実はこのトピックス、聞覚の本質や「人にとって耳とは何か」といった話題から、次世代IoTの命運を左右するテクノロジーまで直結する広がりがあるのです。

 時代を切り開く新しいキーワード「スウォ―ム・テクノロジー」のイントロダクションとしてお話ししてみましょう。

魚群はなぜ鮮やかな群舞を見せるのか?

 この頃は海中撮影技術などが進み、色鮮やかなサンゴ礁から、回遊するイワシの大群などまで、様々なものをお茶の間でも目にするようになりました。

 回遊魚を見せるのが売りという大規模水族館もありますが、謎の死滅などで混乱した報道などもありました。やはり自然のものは自然のままが一番なように思います。

 さて、その回遊魚ですが、一矢(いっし)乱れぬと言うのか、実に美しく鮮やかな旋回、きりもみとか竜巻状のダンスとか、素晴らしいチームワークを見せます。

 イワシとイワシがぶつかるケース、普通絶対目にしませんよね?

 音楽の研究室である私たちのラボが自動運転にいささかでもコミットするようになった背景がここにあります。つまり、イワシの回遊は来るべき自動運転テクノロジーの目標、理想形の1つだということです。

 イワシやマグロはどうやって世界を認識しているのでしょうか?

 彼らはなぜ互いにぶつかり合わず、またサメでも何でも外的が来たとき、さっと逃げることができるのか?

 その答は「センサー」にあります。IoTになぞらえるゆえんですが、つまり「聞覚センサー」が魚群の融通無碍、自由自在の統制の秘密になっている。