IoTの起源が(あらゆる情報技術がそうであるように、これまた)軍事技術にあること。ここから私はビットコイン(Bitcoin)やブロックチェーン(Blockchain)技術を巡る最前線の話題を概説しようと思っているわけですが、なかなか道のりは遠い。
これは悪いことではなく、そこまで「常識の源流」に立ち返ることで、より強いイノベーション、より巧妙な戦略が立てられるということなのですが、まずは再び軍事の話から説き起こしていきましょう。
サイバー化する戦争と軍備
バングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件、心痛に堪えません。現地に特段の情報を持たない私には何事かこれに関して固有の話題を記すことはできず、ただ犠牲者のご冥福をお祈りするばかりです。
とりわけ、JICA(国際協力機構)や青年海外協力隊のメンバーと途上国に出かけた経験のある一個人としては、本当の意味で現地のために役立とうと思い、困難な土地に自ら飛び込んでいった人たちが、このような形で事件に巻き込まれるなどあってはならないことだと思います。
同時に、このような「テロ」がどうして起きてしまうか、個別の地域事情を超え、各地に共通する「時代の大域的地政リスク」的な条件も嫌になるほど感じざるを得ないのです。ということでそこから考えてみたいと思います。
2007年2月、私はNHKBSの番組「地球特派員」の取材で、約3週間ほど米陸軍フォート・ブラッグ・キャンプに体験入隊する機会がありました。
ここでの経験、例えば破綻直前のサブプライムローンを間近に見るとか、誰も知らなかった黒人の上院議員が大統領候補に推され始めたとか、細部はすでに様々なところに書いてきました。
番組は「増派に揺れる基地の町」のサブタイトルで、米国本土内にある伊豆半島ほどの大きさがある最大の基地で、農業をはじめとする斜陽化した南部の町がまるで出稼ぎのように「第2次湾岸戦争」に出征して行く様子を事細かに取材しました。
その中で最初に、また最も驚いた1つが出征して行く兵士の「軍装」でした。彼らは確かに迷彩色の軍服を身に着け、銃器のようなものも身に帯びていました。しかし・・・。
それ以上に目を引き、さらにショッキングだったのは、彼らが軒並み首からパソコンなどの情報機器をぶら下げていることでした。
「ああ、本当にこういうことになっているのだな」
という諦めにも似た嘆息をつかざるを得ませんでした。