【連載第4回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。
位置情報3.0時代の業務効率化とは
コマツの位置情報活用サービスの広がり
前章では、位置情報がさまざまな分野に影響を与えることをお伝えしました。では具体的に、どのような事業において改革が起こっているのでしょうか。その具体例に迫っていきたいと思います。
建設機械のコマツ(小松製作所)は、かねてよりGPSを使った建機のポジティブメンテナンスを行っています(図-10)。
「KOMTRAX」と呼ばれる車両管理システムにはGPS、通信システムが装備されており、車両内ネットワークから集められた情報やGPSによって取得された位置情報が、通信システムからデータサーバに送信されます。
サーバに蓄積されたデータはインターネットを通じて、建機使用者(顧客)やコマツの販売代理店などに提供。このシステムによって、保守管理、車両管理、稼働管理、車両位置確認などユーザーの車両管理業務をサポートしています。
中国では、建機のローン支払いが途中で止まると、建機を動かないようにしてしまう、あるいは盗難にあった場合にエンジンを止めると同時に場所を特定する、といったことにも利用しているようです。
さらに最近では、建設・土木現場の施工作業を支援するスマートコンストラクション「KomConnect」というサービスも拡充させています。
ドローンや3Dレーザースキャナーなどを使ってあらかじめ現場を3Dモデル化し、さらに完成図面も3Dデータ化。土質・地下埋没物などのリスク調査や解析、施工計画の立案を行い、ICT搭載建機を使ってシミュレーション通りに施工していく、というものです。