凶悪な犯罪事件が発生したようなとき、市中に設置された監視カメラの画像データを確認して、容疑者の行動をつぶさに調べ上げる報道を目にします。
しばらく前にも、これは特別に設置されたものらしいですが、暴力団の抗争事件に関連して、監視カメラのビデオ画像で容疑者確認、といったニュースが流れていました。
「ああ、そんなものか・・・」
と、ごく普通のこととして見過ごされてしまうことが多いかもしれません。
しかし、そこでチェックされているのは、必ずしも「容疑者」ばかりではない。あらゆる人が監視の対象となっており、そのデータがすでに蓄積されていて、何かあったときには過去に遡って検索できる――。
その是非を少し考えてみたいと思います。
行動情報データ化の可否
少し前に米国で普及している、タクシーに代わると目される交通システムUBERの話題に触れました。米国でUBERに乗るといろいろな人が運転していて面白いです。過日はフィラデルフィアで、高校の社会科の先生が週末にUBERの運転手をしているケースに遭遇しました。
「一番下の子がまだカレッジで、学費がかかるから・・・」
と笑いつつ、戦後日本への米国の占領政策など、非常に多くのことに精通した人で、30分ほどの乗車時間、大いに会話が弾みました。
「UBERは何が良いって、現金を取り扱わないことだよ」
とその「高校の先生=ドライバー」は言います。
「タクシーの車内には現金があると分かっているから、NYなどではタクシー強盗が絶えない。僕が知っている限り、一番ひどいのはシカゴだ。気持ちの荒れた町だよ」
「その点、UBERはすべてクレジットカード払いでキャッシュレスでしょ。拳銃を持った若者は、UBERを狙っても何もないと分かってるから、決して襲ってくることはない」