実効性のある戦略の構築を
習近平国家主席はオバマ大統領と会うたびに、「太平洋は十分に広い。米中双方の国益を十分に包容できる」と発言し、アメリカと全面対決しない姿勢を示している。確かに、今の人民解放軍は米軍と正面衝突できるほど強くない。
しかし中国は、東南アジアの国々は恐れるに足らない存在と見ている。一部の歴史学者は、中国がかつての「華夷秩序」(中国の皇帝を頂点とする国際階層関係である)の復活を狙っていると指摘している。
今の中国の指導者に華夷秩序の意味を理解する知識があるかどうか不明だが、強い中国を構築していこうとしているのは間違いないだろう。
特にヒラリー・クリントン前国務長官がアジア回帰の戦略を打ち出したのを受けて、アジアにおけるアメリカのプレゼンスが定着する前に、南シナ海の島の建造を加速しておきたいと考えている。
日本と中国との関係は短期的に解決できる問題ではない。国と国との関係を安定させるには、互いに非難し合うのは最も愚かな言動である。重要なのは、硬軟両面からなる実効性のある戦略の構築である。
魯迅は「阿Q正伝」の中で、無知で滑稽な阿Qを生々しく描いている。なんの戦略もなくテレビ番組で東アジア情勢を論評する識者や評論家は日本版の阿Qのように見えてならない。