2008年以来、カリフォルニア州やハワイ州を中心に31店舗に太陽光発電を導入し、年間100万ドル(9000万円)相当の電力料金節約を達成したとしています。

店舗の屋根にはソーラーパネル

 さらに2011年にはカリフォルニア州とアリゾナ州にある20~30店舗にソーラーパネルを設置するとしています*33

 ただし、「毎日が特売(Everyday Low Prices)」をスローガンとする商売上手なウォルマートです(2007年よりスローガンは“Save Money. Live Better.”に変更)。ソーラーパネルの設置コストやメンテナンスコストは一切払っていません。

 電力を発電して電力会社に供給する卸売発電事業者(Independent Power Producer: IPP)が電力を長期間決まった価格で販売する電力販売契約(Power Purchase Agreement: PPA)を、民生用ソーラー発電に応用したのです。

 つまり、ソーラー版IPP事業者がソーラーパネルの所有者・運転者となり、設備費や取り付け費などの初期投資とメンテナンス費一切のコストを負担し、ウォルマートは10~20年の長期間、設置したソーラーパネルが発電した電力を合意した金額で買い取る仕組みです。

 以前紹介した通り、ソーラー発電への連邦政府、州政府レベルでの補助金、税控除や地元電力会社による余剰電力の高価格での買い取り制度などが実施されています。

31店舗で年間9000万円のコスト削減

 ウォルマートはこれらすべてのインセンティブを加味した電力料金を支払うため、通常電力料金もしくはそれよりも安い料金でソーラー電力を購入することが可能となり、31店舗で年間100万ドル(9000万円)の電力コスト削減が実現するのです。

 さらにウォルマートは2009年に、10万社に上るすべてのサプライヤーに対して、供給する商品の製造にかかわるエネルギー消費量、CO2排出量、廃棄物の量などの環境情報を開示するように求めました。

 ウォルマートは、サプライヤーから入手したこれら環境情報を基に消費者に商品のエコ度を告知するために、将来エコラベルの導入を計画しているとしています*34

 ウォルマートの商品の陳列棚のラベルに表示された、商品の値段と、カロリー量と、CO2排出量を見比べながら顧客が商品を選ぶ日も、そう遠くないかもしれません。