この民間金融のピンチヒッターの役割を担ったのが、クリーンエネルギープロジェクトへの補助金、税控除、ローン保証などの措置を打ち出した経済救済予算だったのです。
事実2009年当初は、民間からの資金流入が凍結したために風力発電の開発が大幅に落ち込むことが心配されましたが、蓋を開けてみると、2009年は約1万MWの風力発電が新設され、米国において過去最大の新規風力キャパシティーが稼働しました(図36)。
経済救済予算なくしては実現不可能な数字でした。

この金融収縮下において民間に代わってファイナンスを提供したポジティブな評価がある一方、経済救済予算にはネガティブな評価もあります。
それは、そもそも政府の本来の役割は戦略産業の選択であり、どのプロジェクトに補助金やローン保証を付与するか、特定プロジェクトの選択ではないとう批判です。
政府にプロジェクトを見極める「目」があるのか、という批判も
ベンチャーキャピタルでもない政府にプロジェクトを目利きする評価能力があるのか、疑問を呈する向きもあります。
また、今回エネルギー省(DOE)には経済救済予算からクリーンエネルギー関連を中心に約370億ドル(3兆3300億円)の予算が与えられたのですが、2009年の同省の年間一般予算は約240億ドル(2兆1600億円)でした。
一般年間予算をはるかに上回る経済救済予算を適切に運用できるのか、人員を含めたリソースの問題を指摘する声もあります。
いずれにしても、今回経済救済予算から提供された政府のローン保証は、将来国民に返却しなければならないお金です。