今回は、クリーンエネルギー産業の重要なステークホルダーである政府と企業について、その役割と取り組みについて考察します。
政府の役割と評価
今まで、化石燃料に比べクリーンエネルギーのコストがいまだに高いと申し上げてきましたが、太陽光発電の場合、1kWhの電力を作るコストは40円以上とされています(第3回連載図14 参照)。
日本の一般家庭が支払う1kWh当たりの電気料金単価がおおよそ20円程度ですから、現状太陽光発電は明らかに商売として成り立ちません。
そこで、このコストと市場価格の不均衡を是正、補助するのが政府の役目なのです。
化石燃料と同等の競争力を持たせるために、各国の政府は減税や補助金、フィード・イン・タリフ制度の導入など様々な政策を打ち出し、クリーンエネルギーを化石燃料と同じ土俵に上げて競争させるよう支援しています。
ただし、この政府の政策支援は、クリーンエネルギーに競争力を持たせる効果もありますが、政府が特定産業に深く関わると、どうしてもその産業の政治色が強まってしまう副作用もあります。
経済救済法案で多額の資金が流れ込んだ
その最たる例が政府の補助金でしょう。補助金は国民の税金ですから、そのお金の行く先や使われ方について政治の干渉が出てきます。
このクリーンエネルギー産業のポリティカルな側面に拍車をかけたのが、2008年後半に発生した世界同時不況の景気回復対策として各国政府が導入した経済救済法案(Stimulus Package)です。
この法案によって莫大な緊急予算が組まれ、税控除、補助金、政府ローン保証といった形で、大量の政府資金が景気を刺激するために様々な産業に投入されました。
多くの政府が、この予算を使って、既存産業を即効的に回復させ雇用を維持すると同時に、次世代産業に先行投資し、新しい産業と雇用を創造する戦略を取ったのです。もちろん、次世代産業とはクリーンエネルギー産業です。