それでは、クリーンエネルギーの主役交代はどの程度進んでいるのでしょうか?
クリーンエネルギーの普及の条件
クリーンで、再生可能で、燃料コストが安定しているといった優れた特徴を持つクリーンエネルギーですが、現状の普及率はいまだ高くありません。
化石燃料が1次エネルギー供給の80%以上を占めており、ソーラー・風力・地熱に代表されるリニューアブル(バイオマス除く)のエネルギー供給量は、1%も満たしていないのが現状です。

では、化石燃料からクリーンエネルギーへの転換は、なぜ一気に進まないのでしょうか?
第1部で紹介したように、過去のエネルギー革命が長い時間をかけて、緩やかなペースで起きたのと同様に、今回のクリーンエネルギー革命も決して一夜にして起こりません。それは、供給サイドと需要サイド、両方に課題があるからです。
圧倒的にコストが高い太陽光発電
まず供給サイドの課題としては、コストが高いことが挙げられます。ソーラーや風力などは、燃料コストはタダであっても、それを電気に変換する技術や設備にお金がかかります。
一方、バイオマスは、バイオマス自体を作るコスト、バイオマスを発酵技術や酵素技術によってエタノールやディーゼルなどの燃料に変換するコスト、バイオ燃料を輸送するコストがかかります。
最終的なエネルギー価格ベースでは、一般的にクリーンエネルギーは化石燃料と比べて、そのコストが高いのが現状です。例として、異なる発電方式による発電単価を見てみましょう。

風力発電は化石燃料ベースの発電方式と比較してもコスト競争力がかなり出てきていますが、太陽光発電のコストはかなり高いレベルにあります。今後、さらなる技術革新や製造キャパシティのスケールアップなどによって、コストを下げる必要があります。