新潮社が発行する季刊誌「webでも考える人」の公式サイト「webでも考える人」から選りすぐりの記事をお届けします。
テラスから下を覗いた瞬間、われわれは思わずのけぞった。

 (前回はこちら

 高低差に乏しい関東平野も、宇都宮あたりまで来ると、街の彼方に山が迫ってきてホッとする。東京から宇都宮にたどりつくまでの車窓風景の平板さは、かつて私が調布の寮の屋上で感じた息苦しさを思い起こさせ、私は関東地方でとりわけこの路線が苦手だ。

 しかし宇都宮まで来れば、はるかに男体山の白い姿も見えて安心である。男体山に行く予定はとくにないけれども、そこに山があるというだけで世界が面白そうに思える。

 駅前に出ると、いかにもアウトドアガイドといったワイルドな感じの男性が待っていた。ツアーガイドのマッハ氏である。どう見ても日本人であり、マッハというのはアクション映画のタイトルからつけたニックネームではないかと私は鋭く察したが、そんなことよりこんな屈強なガイドがつくということは、われわれは地底で何かと戦わされるのかもしれなかった。スペクタクルさんぽである以上、ある程度の危険は覚悟しなければならないのである。

われわれを導いてくれた屈強ガイド・マッハ氏。
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 地底湖ツアーは、正式には「OHYA UNDERGROUND~ 大谷地底探検と里山ハイキング~」といって、地底湖だけでなく、ハイキングがついている。 ハイキングも嫌いじゃないが、そこにスペクタクルはあるのか、と不安に思いつつ現地へ向かったところ、いきなり想定外の世界が待っていた。町じゅうにヘンテコな形の岩山がそそりたっていたのだ。

 こんな形の岩とか、

 こんなのとか、

 こういうのとか。

 何これ、パズル?