中国安邦保険、米スターウッド買収提案を撤回

中国北東部の遼寧省大連にある、スターウッドホテル&リゾートチェーンの「ザ・キャッスル・ホテル」〔AFPBB News

 韓国の金融界、産業界で大きな話題になっている売却がある。独アリアンツ生命が韓国法人を売却して撤退を決めたことだ。買収以来1兆ウォン(1円=10ウォン)以上を投じた韓国法人をわずか300万ドル(約35億ウォン)で売却するという。買い手は、あの中国の安邦保険グループだ。

 「1兆投資のアリアンツ、35億で売って韓国を去る」

1兆ウォン投資して35億ウォンで売る

 2016年4月6日、大手紙「朝鮮日報」はこんな見出しで今回の売却劇を1面で報じた。金融界、産業でも大きな話題になっている。

 アリアンツは1999年に当時、韓国第4位だった第一生命を買収した。3年後に「アリアンツ生命」(韓国、以下韓国アリアンツ)に社名を変更した。買収額は4000億ウォンだった。

 期待をこめての韓国進出だったが、その後も、茨の道が続いた。韓国メディアによると、アリアンツが買収してから17年になるが、この間、韓国アリアンツは8年間赤字だった。

 アリアンツグループは合わせて7回の増資に応じ、買収資金と合わせてこれまでに1兆2000億ウォン以上を投じる羽目になった。

 それでもなかなか業績は好転しなかった。

 追い討ちをかけたのが労使問題による混乱だった。何とか業績を立て直そうと経営側がリストラを試みるが、そのたびに労使関係がこじれる。2008年には給与制度改革を巡って労組が対立し、200日以上もストが続いた。

逆ザヤにストで大苦戦

 韓国アリアンツが本業で苦戦したのは、逆ザヤのためだった。保険業界関係者はこう話す。

 「第一生命時代から、年金や終身保険などの商品をかなり販売したが、予定利率が年間7~8%以上の場合も多かった。韓国も未曾有の低金利時代になり、毎年、相当の逆ザヤによる損失が続いていた。賃金引下げや人員削減などの合理化で打撃を食い止めようとしたが、労使関係の悪化で逆に経営の足を引っ張ることになった」

 朝鮮日報は「財務健全性を回復させるためには今後2~3年間で1兆ウォンを超える資金が必要」と報じている。

 韓国での事業がうまく行かない。労使問題も解決の兆しが見えない。それでも、1兆ウォン以上をつぎ込んだ韓国法人をこんな安く売るのか。