2015年10月、防衛省の外局として「防衛装備庁」が新設されました。防衛装備品の輸出・研究開発・調達を主任務とする新組織です。
防衛装備庁には、大きな期待がある一方で、内部では混乱が起きるなど課題も山積しているようです。そこで、防衛産業政策を研究されている、佐藤丙午・拓殖大学教授に課題と意義を伺いました。
技術畑の専門職も政策にもっと関心を持つべき
――防衛装備庁は、技術研究本部(技本)や装備施設本部(装本)などの部門と、各幕で調達部門などをまとめたものです。必然的に技官などの専門職の数が多くなり、新設された政策部門と企業や他省庁などとの調整がうまくいっていないと聞きますが・・・。
佐藤丙午氏(以下、敬称略) 組織の立ち上げに伴う混乱があるとは聞いています。ただ、これは時間をかければまとまっていくと思います。
また、技本出身の技官の中から、政策部門を担当する不安についての声も聞こえます。しかし、政策部門が防衛省内局からの出向者で占められると、技術開発と政策のシナジー効果が失われてしまいますので、技官の方には政策に関心を持ってほしいと思います。
――防衛省内局からの出向者は全体最適を理解しているわけですから、全権を握ることは好ましいのではないでしょうか? そもそもこれまで「技本や装本は国家の戦略・政策もしくは国際情勢を軽視して技術開発している」という批判がされてきました。