「外交政策については、彼女の考え方に賛成します」
彼女というのは米大統領選の民主党トップランナーのヒラリー・クリントン氏(以下ヒラリー)だ。発言者はネオコン(新保守主義)の論客、ロバート・ケーガン氏である。
ケーガン氏だけでなく、いまネオコンの重鎮たちは共和党レースで首位を維持するドナルド・トランプ氏(以下トランプ)ではなく、ヒラリーの支持に回っている。
ネオコンという言葉は懐かしい響きさえある。
起源は1930年代にまでさかのぼれるが、世界的にネオコンの名前が流布したのはブッシュ前政権時代で、タカ派的な外交政策の政治イデオロギーや人物を指す。当時は共和党の外交政策の代名詞的な意味合いがあった。
リベラル干渉主義者
著名な政治家・思想家としては、ディック・チェイニー前副大統領、ポール・ウォルフォウィッツ元世界銀行総裁、リチャード・パール元国家防衛政策委員長などがいる。
ただ現在、ネオコンという言葉はすでに使い古された感があり、ケーガン氏は昨年「リベラル干渉主義者」と呼ぶ方が適切であると述べている。しかし本稿では、少し古いがネオコンと書くことにする。
話を戻したい。いまヒラリーの外交政策を後押しするネオコンは、ケーガン氏以外にも何人もいる。
ニューヨークに本部があるシンクタンク、外交問題評議会(CFR)の上級研究員マックス・ブート氏は「(トランプが大統領になると)米国の外交政策だけでなく国際的な外交規範を破壊してしまう」と述べ、「(ヒラリーが)大変好ましい候補」と持ち上げる。