ウェアラブル端末トレンド、今後はより「ユーザー中心」に

スマートウオッチ市場の牽引役は「Apple Watch」〔AFPBB News

 米国の市場調査会社、ストラテジー・アナリティックスが公表した最新のリポートによると、昨年10~12月期におけるスマートウオッチの世界出荷個数は810万個となり、スイス製腕時計の出荷個数を上回ったという。

出荷個数、1年前の4.2倍に

 一昨年の10~12月期に190万個だったスマートウオッチの出荷個数は、その後順調に伸び続け、わずか1年で約316%増と、約4.2倍に拡大した。

 これに対し、スイス製腕時計の出荷個数は同じ期間に830万個から790万台へと約5%減少した。これにより、スマートウオッチの四半期ベースの出荷個数は初めてスイス時計のそれを上回ったという。

 ストラテジー・アナリティックスによると、世界のスマートウオッチ市場を牽引しているのは、米アップルが昨年4月に市場投入した「Apple Watch」。

 推計によると、昨年10~12月期の世界スマートウオッチ出荷個数に占めるApple Watchの比率は63%。これに「Gear」シリーズを手がける韓国サムスン電子が16%のシェアで次いでおり、「世界で出荷されるスマートウオッチは10個に8個がこの2社の製品」と、同社は指摘している。

 これに先立ち、英国の市場調査会社カナリスもスマートウオッチ市場に関するリポートを公表していた。こちらは、Apple Watchの発売後2四半期(6カ月)の出荷個数がほぼ700万台に達し、業界断トツだったという報告だった。

 ストラテジー・アナリティックスとカナリスの統計取り方には違いがあるようで、単純な比較はできないが、仮に条件が同じだとすると、昨年7~9月期まで1四半期平均350万個だったApple Watchの出荷個数は、10~12月期に510万個に増えたことになる。

スイス製スマートウオッチのシェアはわずか1%

 その一方で、スイス時計の世界需要は減速しており、ザ・スウォッチ・グループなどの大手時計メーカーは苦戦しているという。ストラテジー・アナリティクスのエグセクティブディレクターであるニール・モーストン氏は、「スイスの時計産業はスマートウオッチ開発への対応がとても遅い。業界は現実から目をそらし、スマートウオッチが市場から消え去ることを期待している」と厳しい評価をしている。

 ただ、スマートウオッチは、フランスLVMH傘下のスイス高級腕時計メーカー、タグ・ホイヤー(TAG Heuer)などもすでに手がけている。