2016年は年初から韓国での経済に関しては明るい話題が少ない。北朝鮮の核実験は事実上の大陸間弾道ミサイル発射であり、不透明性が拡大している。2月以降は急速な「ウォン安」も進行している。以前ならば、ウォン安と言えば、輸出拡大にプラスになり、好材料だったが、今やそんなことを言っていられる状態ではないのだ。
「年初に今年の内外経済情勢はなかなか厳しいと申し上げたが、今は年初見通しよりも対外経済がずっと悪化してしまった」
「こういうときに北朝鮮が核実験とミサイル発射という挑発に出て朝鮮半島の緊張が経済に大きな負担となる恐れもある」
「中国経済の停滞は続いており、新興国や産油国の経済不況も大きくなっている。世界の株式市場も揺れており、わが国の輸出も1月には6年ぶりのマイナス幅を記録した。1月は中国や日本の輸出も2桁減となるなど、当分の間世界経済の不振が続く兆候が出ている」
安保とともに経済も心配な大統領
2016年2月22日、韓国の朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領は青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官会議で経済についてかなりの時間を割いて話した。それだけ経済に心配な材料が多いということだ。
韓国経済の明るい材料がなかなか見えない。
韓国の産業界が最も警戒しているのが最近の急速なウォン安の進行だ。
ウォンの対ドルレートは2016年1月初めは、1ドル=1099ウォンだった。ところが、2月15日に、1ドル=1206ウォンになり、2月22日には同1233ウォンになった。
同じ時期に、対円レートも、100円=917ウォンから、1092ウォンになった。
かなりのピッチでウォン安が進んでいるのだ。