「ビジネスモデルにも問題があった」

 ある大企業の役員はこう話す。

 韓国経済のけん引役は、一部の財閥、大企業だ。そして、こうした企業の多くが手がける「主力製品」は10年前、いや15年、20年前とほとんど変わっていない。

 先に挙げた、鉄鋼、化学、自動車、船舶、半導体、さらにディスプレーや携帯電話機を大量生産して輸出して稼ぐ。こういう産業構造がまったく変わっていないのだ。

 だから、世界的な景気後退や、海外企業の追い上げに遭うと、その打撃が大きいわけだ。

 それでもまだ、輸出企業にとってはウォン高よりはましだ。

 だが、一部企業には多少のプラスになったとしても、それ以上の悪循環への警戒感が高まっている。

悪循環への懸念

 証券・債券市場からの外国人投資家離脱⇒ウォン安⇒株式・債券価格下落⇒外国人投資家離脱⇒ウォン安という悪循環だ。

 もともと韓国の大企業の業績は2015年以降悪化している。労使問題の激化や、「ゾンビ企業」の増加、さらにこうした企業への対応の遅れなどから韓国株の魅力が薄れている。