3.11大津波、長年の「ゆっくり滑り」が引き金か 東大研究チーム

東日本大震災で発生した津波によって宮城県南三陸町に散乱したがれき(2011年5月9日撮影、資料写真)〔AFPBB News

 これまで4回にわたって、ベラルーシで行われた勉強会について書いてきた。最後に、福島復興へ向けて必要なことをまとめたい。

 まずは、情報を記録することだ。福島原発事故に関する論文は、「pubmed」という論文検索サイトで調べると、1000報以上ある。

 チェルノブイリ事故の論文が4000報程度であることを考えると、大量だと言えるだろう。さらに、福島原発事故を報じた記事も大量にある。

 しかし、このうちのほとんどが被曝量に関するものである。

大切な専門家同士の連携

 ベラルーシでの勉強会で参加者の興味を引いたのは、福島の被曝量だけでなく、高齢化などの社会問題についてであった。このような、原発災害が引き金を引いた社会構造の変化についてはまだ記録不足だ。

 高齢化の進行や仮設住宅や復興住宅におけるコミュニティの崩壊などの問題は、孤独死や糖尿病の悪化など健康問題を引き起こすことが危惧されている。これは原子力災害だけでなく、高齢化社会にもヒントとなる分野であり、記録に残さなければいけない。

 次に、専門家同士が連携することだ。

 ベラルーシでは、原子力の専門家と教育者との緊密な連携を見た。その結果生まれたのが、高校生に食物の被曝量を計算させるという、実践的な放射線教育のプログラムだ。