パリで起きた同時多発テロやアフリカ・マリのホテル襲撃などに加え、シリア国境付近でロシア爆撃機がトルコ軍に撃墜されるなど、地政学的リスクへの懸念が高まっている。
1バレル=40ドル割れ寸前であったWTI原油価格は11月13日のパリ同時多発テロで反発、その後のロシア機撃墜などで同43ドル台に回復した。しかし「世界市場の均衡回復にはほど遠い」というのが市場関係者の共通認識であり、12月4日に開催されるOPEC総会に対する関心が日増しに高まっている。
2014年11月のOPEC総会は、原油価格下支えのための減産を拒否する決定を行ったため、原油価格の長期低迷をもたらす原因をつくってしまったとされている。
それから1年が経ち、OPEC加盟国もこれまでのような持久戦を続けられる状況ではなくなった。そのため、OPECの盟主であるサウジアラビアのスタンスにも変化の兆しが見られるとの観測が出ている。
だが、実際にはサウジアラビアのスタンスは変わりそうにない。
サウジアラビアの内閣は11月23日、「石油市場の安定におけるサウジアラビアの役割および市場と価格の安定を維持するために、全てのOPEC加盟国・非加盟国と協力する用意と意思がある」との声明を出した。この声明は市場関係者の注目を集めたが、内容は残念ながらヌアイミ石油鉱物資源相がこれまで行ってきた発言とさほど変わりはない。