11月13日、国際通貨基金(IMF)は外貨不足に陥った加盟国を支援する特別引き出し権(SDR)の構成通貨に「中国の人民元を採用することが妥当である」との見解をまとめた。同30日のIMF理事会で正式に決定されることとなる。
SDRとはIMFが加盟国に割り当てる準備通貨のこと。1960年代初頭に発生した国際通貨危機の教訓からIMFが1969年に創設した。IMFはSDRの一部を出資金に応じて加盟国に配分し、加盟国は国際収支が悪化したときなどにSDRを外貨に交換して対外支払いに充てることができるとしている。
SDRに採用される要件として、(1)モノやサービスの輸出額が多い国の通貨であること、(2)国際取引で広く使われ、外国為替市場で自由に取引されていること、が挙げられている。現在の構成通貨とその比率は、米ドル(42%)、ユーロ(37%)、英ポンド(11%)、日本円(9%)となっており、5年に一度見直しが行われる。
人工的な準備通貨であるSDRの発行残高は約3000億ドルで、世界の外貨準備高の2.5%にとどまる。SDRが対外的な支払いに利用されることはほとんどなく、世界の金融システムの脇役にすぎなかった。
だが、中国によって、このSDRに一躍スポットライトが当てられることになった。