中国税関総署が10月13日に発表した9月の貿易統計によれば、輸入額が前月比20.4%減の1452億ドルと11カ月連続でマイナスとなった。減少幅は事前の予想値(16%減)を上回り、リーマン・ショックの影響が強かった2009年5月と同規模である。中国経済の先行きへの懸念がますます高まっている。
原油市場の関係者が注目する原油の輸入量は2795万トンと前月比5.1%増だった。だが、8月の原油輸入量が7月に比べ13.4%と大幅に減少したことを考慮に入れると、増加分は期待外れと言っても過言ではない。
原油の平均輸入価格は1バレル=50.4ドルと8月の同58.5ドルから大幅に下落した。国際的な原油価格は8月に比べて若干上昇しているので、この価格低下は主要産油国のシェア確保のための値引き競争の結果だろう。
10月13日付ブルームバーグによれば、中国では一部の地上貯蔵施設が満杯になっているため、原油を運ぶ200万バレル積みの超大型タンカー(VLCC)の荷下ろしまでの待機期間が延びている。通常、VLCCは港湾到着後1日以内に出港するが、ブルームバーグが10月9日に集計したデータによれば、少なくとも19隻のVLCCが中国沖で2週間以上停泊しているという。中国国内には膨大な原油在庫が積み上がっているということだ。鉄鉱石や石炭に加え、原油も「1年以上輸入しなくてもやっている状態にある」との観測が出始めている。
原油価格が下落する状況で中国政府は戦略国家備蓄を積み増し、これが低迷する民間需要を補い、全体の原油輸入量を着実に増加させてきた。しかし8月12日の天津港の大爆発事故により、同港に建設された備蓄施設への原油の搬入が停止し、早期復旧は依然として期待薄の状態にある。中国は戦略備蓄をテコに原油輸入量を増加させてきたが、今後、原油輸入量は減少傾向を鮮明にする可能性が高いのではないだろうか。