1. 会社に協力を求めて仕事をしながら介護をする。今の会社では、どうしても仕事と介護の両立が難しい場合、確実に両立できる転職先を決めてから辞める

 2. 介護者仲間を作る

 3. ストレスは定期的に解消する

和氣美枝(わき みえ)氏。ワーク&ケアバランス研究所(WCB)運営管理責任者で、自身も介護者。介護離職のない社会の創造を目指し、個人向けには「働く介護者おひとり様介護ミーティング」の開催や、情報サイト「ケアラーズコンシェル」を通じた情報発信を行っている。企業向けの講演会・介護相談会などの総合コンサルティングの提供や、社労士やライフプランナー向けに勉強会などを開催するなど「仕事と介護の両立支援」を側面サポートする。

 まずは、前向きに考えていくためにも会社に協力してもらいましょう。介護は行っていくうちに状況が変わります。今は働き方を変えたとしても、また今と同じように働けるようになることもあります。

 とはいっても、介護に理解のない会社がまだ多いのが現状です。精神的に苦痛であるなら、転職も視野に入れましょう。ただし、転職先を決めてから今の会社を辞めてください。「いったん退職してからゆっくり探そう・・・」と思って、すぐに次の会社が見つかるほど世間は甘くありません。自分のスキル、収入、今後の人生、そういったものをしっかり見つめなおして、転職先を探しましょう。

――介護者仲間はどこで作ることができるのでしょうか? また、仲間ができるとどんな利点がありますか?

和氣 全国には介護者支援団体がたくさんあります。最近では「男性介護者の会」という男性が集う会も増えています。ぜひ、そういったところに足を運んでみて、仲間を見つけてください。

 ご自身の介護にとって有益な情報を得られますし、同じ境遇の仲間を得ることで、精神的な安心にもつながります。介護の状況を理解し、寄り添ってくれる人がいることで「自分だけじゃないんだ」と実感が持てます。介護のモチベーションも上がるものです。

──「ストレスを定期的に解消する」ということですが、やはり意識的に解消したほうがいいのでしょうか。

和氣 1人で介護をしていると、ストレスがかかっていても「これくらいは当たり前だろう」「要介護者の辛さに比べればこんなことは」など、自分の気持ちを抑えてしまいがちです。

 けれども介護は誰かと比べるものではありません。自分の心が「つらい」と言っているのであれば、時々は介護から離れて羽を伸ばすことも大切です。

――最後に、今、まさに介護離職を考えている人へのメッセージをお願いします。

和氣 「介護が始まったら会社を辞めるしかないのか?」 そんなことはありません。

 介護者の不幸は「人生の選択肢が見えなくなること」だと思っています。今までの人生を選択してきたように、これからの人生にも選択肢は必ずあります。

 もちろん「会社を辞める」ということも選択肢の1つではあります。しかし、短絡的に介護離職をして良いことは一個もありません。それを肝に命じたうえで自分の人生を大事にしていただきたいと思います。

【参考】介護者の会、介護者支援団体

全国介護者支援団体連合会

男性介護者の会 

NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン