韓国の朴槿恵大統領が10月16日に訪米して、オバマ大統領との米韓首脳会談に臨む。その朴大統領が最近打ち出している「朝鮮半島の南北統一への準備」に対して、米国の専門家から、日本をあまりにも無視しすぎた内容だという警告が発せられた。米側は最近、朴政権の反日傾向が過剰だと批判している。今回の警告はそうした姿勢の反映だとも言えそうだ。
奇妙なほど語られていない日本の役割
今年8月、朴大統領は朝鮮半島の南北統一に向けた準備作業を検討する統一準備委員会討論会の席で、「来年に統一が実現することもあり得る」と発言して、国内外で波紋を広げた。
同大統領はその後も南北統一を今後の主要外交戦略目標にする姿勢を強めた。10月中旬の米韓首脳会談でも、南北統一という大目標を外交課題として提起する見通しが強い。
こうした背景の中で9月下旬、ワシントンの主要研究機関、ヘリテージ財団の朝鮮半島情勢を専門とするブルース・クリングナー上級研究員が「韓国、日本、米国は朝鮮統一のために何をなすべきか」と題する報告書を発表した。同研究員は米国政府の中央情報局(CIA)で長年、朝鮮半島の諸課題を専門に研究してきた。この報告書は訪米を目前にした朴大統領への政策提言という形をとっていた。