皆様、お久しぶりです。焼き付けるようだった夏の日差しもやわらいで、朝晩の風も涼しくなってきましたね。季節はもうすぐ秋、読書のシーズンがいよいよやって来ます。秋の読書の本選びに、私どもの本の紹介が少しでもお役に立ってくれたなら幸いです。
さて、今回はどのような書籍をご紹介しようかと、あれこれ考えていたのですが、このあたりで、以前から温めていたテーマで本の紹介をしたいと思います。
そのテーマとはずばり「イギリス」です。何を隠そう私は大のイギリスファンであります。いわゆるヴィクトリア時代がお気に入りです。この時代を題材にした小説・コミックも多数出版されていますね。ですが、今回はヴィクトリア時代には触れません。あと、私は愛好家であっても専門家ではございませんので、過度の期待はされませんよう、最初におことわりしておきます。
肖像画に映し出された歴史
1冊目にご紹介するのは『肖像画で読み解くイギリス王室の物語』(君塚直隆著、光文社知恵の森文庫)です。
本書は2010年に新書として刊行されたものに加筆修正を加えて、今月、新たに文庫として刊行されたものとなります。本書は12の章から構成されており、1章ごとにテーマとなるイギリス国王やその家族の肖像画を掲げ、その肖像画の人物にまつわるエピソードや、時代背景を紹介していく流れとなっております。
本書ではテューダー朝から現代までの約500年の歴史を紹介しています。本書の表現を借りれば、「弱小国イングランドが、大国との長い戦争の時代を経て世界に冠たる大英帝国へと成長し、やがて縮小期を迎えるまでの五百年」の歴史です。