これまでの連載で繰り返し述べてきたが、機能性食品のマーケティングで新しい市場を創るには、トクホや機能性表示食品などの制度にとらわれすぎないことが大切だ。消費者インサイトに基づいた効果効能を伝えられる新しいエビデンスの開発と、それに沿った独自性のあるストーリーやコンテンツが必要であり、専門家やメディアを通じてストーリーを発信していくことが非常に重要かつ有効である。
機能性食品のコンセプト開発で企業がよく失敗するのは、消費者のインサイトを考慮せずに自社の素材、製品のエビデンスや訴求ポイントだけに注目してしまうケースだ。その結果、消費者の興味関心を全く引きつけられない凡庸なものになってしまうことが往々にしてある。
今回は、売れるストーリーづくりの肝となる消費者インサイトの探り方とその調査方法について、もう少し掘り下げて説明したい。
「仮説」をどのような媒体・手法で伝えるか
例えば、売上の伸び悩んでいる既存製品があるとする。まずは調査分析で現状課題を探すところから始めていくのが一般的な流れである。しかし、ここで多くの企業が陥るワナがある。それは、「買っていない人の、買わない理由」を探そうとしてしまうことだ。それよりも、最初にすべきことは、すでに今「買っている人の、買っている理由」を調べることである。なぜなら、それこそがその商品の真の価値だからだ。
その理由が見つかれば、企業が本来価値と考えていたことと、消費者が実際に価値と感じていることが、一致しているのか否かを確かめることができる。