今回も前回(「『デトックス』で甦った食物繊維マーケット」)に引き続き、新しいエビデンス開発を基に独自性のあるストーリーやコンテンツを作り上げ、新しい市場を創造した事例を取り上げる。トクホや表示制度に頼らず、売上を何倍にも伸ばした製品が存在することを知ってほしい。
トクホでもないのに独自のエビデンスとストーリーによって爆発的な売上を記録した製品とは何か。それは機能性ヨーグルトだ。
トクホを取得していないため、薬事法の兼ね合いでメーカーは広告やパッケージで効果や効能をアピールできない。しかし、学会などの調査報告から、ノロウイルスやインフルエンザなどの予防に貢献できるとされるエビデンスがテレビ番組等で紹介されたのをきっかけに、売上が急増した。
体の内側からノロウイルスを予防する
代表的な商品が森永乳業の「ラクトフェリンヨーグルト」だ。母乳に含まれる「ラクトフェリン」というたんぱく質を配合した商品である。免疫力調整機能や抗菌・抗ウイルス作用、鉄分の吸収調整作用など、さまざまな働きがあるとされ、ラクトフェリンを毎日摂取することでノロウイルスの感染予防に効果が期待できるという。
2012年のノロウイルス大流行は皆さんの記憶に新しいところだろう。ノロウイルスは主に口から感染する「感染性胃腸炎」で、激しい下痢やおう吐、発熱、腹痛、そして脱水症状などを発症する。乳幼児や高齢者ばかりでなく、体力のある若者や子育て世代にも感染し、年間100万人以上の患者がいると推定されている。