保線の現場でミャンマー人と一緒に日本人専門家(左)から指導を受ける
保線作業の合間にミャンマー鉄道の技術者とほっと一息。毎日一緒に汗を流す同志だ
 

 3カ月後、OJT研修を終え帰国した4人は、それぞれの職場で再びJR東日本の業務を開始した。

 一見、すっかり“日常”に戻ったかのようだが、「言葉が通じなくても、共に線路を良くしようと働く同じ技術屋同士、分かり合えたことがとても嬉しかった。日本の線路、そして社内のことしか分からなかった自分の視野も広がった」(小玉さん)、「日本の常識だけがすべてではないことを実感し、世界観が大きく変わった。機会があればまたミャンマーに戻り、こちらの人たちと一緒に働きたい」(濱尾さん)。

 「日本とは違う環境に行っても柔軟に対応できるたくましさが身に付いたように思う。保線の大切さも改めて感じたし、鉄道はチームワークのサービス業であることを再認識した」(菅原さん)、「わが社の安全レベルや技術の高さを改めて実感し、“日本の鉄道技術を世界に広めたい”という思いが強くなった」(進藤さん)。

 こうした4人の言葉からは、3カ月間、経験したことのないほどの暑さや体調不良に悩まされながらも、それぞれがミャンマーと日本について理解を深め、今後、世界に出ていく際の必須条件とも言えるたくましさと柔軟さ、そして自信を獲得した様子がひしひしと伝わってくる。

 ミャンマーで、ミャンマー人と共に学び、新たな世界観と自信を獲得した4人。3カ月という奮闘の日々は、彼らにどのような成長の種をまいたのだろう。その答えがこれからの仕事ぶりの中に芽生えてくるのを楽しみに、彼ら彼女らの背中を見守ることにしよう。

(つづく)

本記事は『国際開発ジャーナル』(国際開発ジャーナル社発行)のコンテンツを転載したものです。