今日のミャンマーと同じように、かつて“開国” に伴う経済の大転換を反映し投資ブームの到来に沸いたベトナムでは、1999年から 2001年にかけて日本が支援した「ベトナム国運輸交通開発戦略調査(The Study on the National Transport Development Strategy in the Socialist Republic of Vietnam:VITRANSS)」により道路や鉄道、内陸水運、海運・港湾、航空などを包含し、総合的に捉えたマスタープランを策定。
これに基づき、個々のプロジェクトの事業化が進められ、幹線交通網を中心に運輸交通インフラの整備・改善が進められた。
このVITRANSSのように、今日のミャンマーにおいて、全国レベルですべての交通モードを対象として運輸交通整備の優先順位を付けた上でフィージビリティー・スタディーを行おうとしているのが「全国運輸交通プログラム形成調査」であり、前回紹介したように、これまでの半年間で、南北方向の鉄道と内陸水運、そして東西方向の道路の調査が優先プロジェクトとされることが決まった。
中でも鉄道については、2012年に経済産業省もヤンゴン~マンダレー間を約8時間で結ぶための予備的な調査が実施されており、この「全国運輸交通プログラム形成調査」において特に優先度が高い。
加熱する投資熱に対応できるスピード感をもって整合性のとれた運輸交通インフラの整備を実現する難しさ。その挑戦をも、息つく間のない変化の波が飲み込んでしまわないよう、不可思議さもアンバランスさも、この国の今の姿の一つとして、あえて書き留めてみた。
(つづく)
本記事は『国際開発ジャーナル』(国際開発ジャーナル社発行)のコンテンツを転載したものです。