ヤンゴン中央駅で乗車券を買い求める人々

BOTの功罪

 一見立派な道路や橋なのに重車両が通行できなかったり、首都と最大商業都市を結ぶ幹線鉄道の整備が遅れていたり・・・。こうした不可思議ともアンバランスとも言える状況を見るにつけ、整合性の採れた整備計画がいかに重要か痛感する。

 国家の発展や産業振興、人々の生活向上にとって、道路や港湾をはじめとする交通社会資本の整備が不可欠であるのは言うまでもない。

 しかし、資金難に苦しむ途上国政府にとって、早急なインフラ整備のニーズに対応できるだけの財源を確保することは、決して容易ではない。そこで民間資金を活用するBOT事業が各国で行われており、ミャンマーも積極的にこの方式を採用している。

 もちろん、BOTは採算性が取れるところにしか投資がいかなかったり、利用を保証するために本来、整備・利用されるべき交通インフラが十分に活用されなくなるといった歪みをもたらす可能性もある。

 しかし、現政権が掲げる「20年以内に現在のタイの経済レベルに追い付く」という目標を達成するために必要な投資は、国の歳入だけではまかなえない。

 だからこそ、投資家の計画に安易に乗らないよう留意しながら適切な形でBOTを活用し、歳入と投資のギャップを埋められるよう将来計画を立て、投資の優先順位をつけていくことが大切だ。